26/10/2008 マチネ
現代口語演劇とか、リアルな台詞回しとか、そういう芝居はどうしても「身の回り3mのことしか言ってない、ひ弱な芝居じゃねーか」みたいな、割と 見当ハズレの批判に晒されることが多いと思うが、実際観てみたら、どう考えても想像力が身の回り3mから抜けてでいなくて、「あ、こんな芝居があるん じゃ、さっきの批判もウソじゃねーな」みたいなことを僕も思っちゃったりするような芝居も実は多い。まぁ、想像力の欠如した芝居は、現代口語だろうが新劇 だろうがアングラだろうが80年代風だろうが、ダメなものはダメなんである。当たり前だけど。
で、この、アイサツの「ぼくのおうさま」では、「身近な日常の些細な感情から離れれるだけ離れたリアル芝居」「スケールの大きな芝居をあんまり大 きい声を出さないで」とあって、そういう試みであれば行って観る価値は大いにある。上手く行っていようといまいと(乱暴な話)関係なくて、そういう試みの 働き方を観るのが面白い、はずだ。
で、観た感想はというと、なんだか、半径3mの芝居が、広い宇宙に散らばって、それらを繋ぐ糸が見えないくらいにお互いから離れてしまって、今度 は逆にそれを無理矢理繋ぐ意図に縛られて、瞬間瞬間の、それはそれで大事な半径3mの世界がなおざりになりかけたところで、舞台に放り出された、という印 象。チラシに書かれた問題意識がどういう経路を辿ってこの舞台に結びついたかを考えると、これ、結構、不本意な結果だったんじゃないかな?勝手ながら。
開始後55分で、それまで曲がりなりにも作り上げてきた世界をガラガラガッシャンと壊してしまって、これからどーするんだ、ひょっとしてこのまま 乱暴に突っ走るのか?と思わせたが、やっぱり、前半のシーンとシーンとの間の距離は、前半と後半の距離とあんまり変わらない。つまり、つながりのなさを無 理矢理つなげてる感じは変わらない。展開の仕方が苦しいので、登場人物を紋切り型に落とし込まないと上手く繋いで見せられなくなっている印象である。
まぁ、半径3mと大きな世界(大河)を繋ぐ方法は他にもあるので、今回が余り上手くいってないと小生1人が言ってみたところでなんということもあ るまい。観客にとっては舞台に乗ってるものが全てかもしれないけど、創り手にとっては問題意識のほうが実はずっと大事だったりするのだから。
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