2008年1月15日火曜日

こゆび侍 ドン・キホーテの恋人

14/01/2008 ソワレ

女子校の制服を着た女性が、「10年間ずっとあなたを想い続けていた」というので、てっきり、
「中学か高校の頃に好きになった人を10年間想い続けて、20台半ばになってもまだその頃の格好でいるんです」
な話かと思っってしまった。全然違った。幼稚園・小学校低学年の頃から想い続けて10年、だった。
後半、残り10分くらいになるまでそこに気がつかず、話の展開を読み違えていた。何とも、思い込みというか先入観というものは怖いもんである。

廣瀬友美さんは去年見た「風花水月」で割と台詞+(導入部進行役としての)負担が多い若干損な役回りで奮闘していたのを覚えていたが、今回もまた 物語を引っ張る引っ張る、引っ張っておいて最後のオチはここかい、というそのオチは、ベタといえばベタ、しかし、厭味なく、「ああ、これを見せたいが為の 1時間15分だったのか」と思うと妙に合点がいく芝居だった。

すると、あとは①巧拙と、②「とことん個に拘って、つまり、個人の、すっごく個別の一瞬に拘って、その上で、それを見せるためだけに、残りの全て の時間はある、残りの全ての役者はいる」とまでやってみせた「個」の瞬間が、どこまで「普遍」へとジャンプし得るか、あるいは、ジャンプしたかのように観 客に思わせるか、という2点にかかってくると思う。

その意味で、初恋ネタは、一見普遍に近いようでいて、妙に合点がいってしまう分、逆にジャンプする引っ掛かりが見つけにくい。そんな訳で、合点が いって共感もできるけど、100点とは言えないという、いうなれば、Chasetown 1 - Cardiff 3 のChasetown、Chelsea 1 - QPR 0 のQPRを誉めるような誉め方しかできない、ということになる。ちょっと変な喩えだけど。

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