2007年11月5日月曜日

青年団若手西村企画 ライン

04/11/2007 ソワレ

「楽しめるくだらない作品に仕上がった」とは演出のあいさつ文だが、まさにその通りで、特に「タイムマシーン」なんて特大にくだらなくて、心の中で「く、くっだらねぇえ!」と快哉を叫んだことである。

オムニバスは期待していなかったので、観る側としてのペース配分を間違ったのかもしれないけれど、前半目をまん丸にしてみていたのが後半になってちょっと失速・息切れ感あり。辛くなりかけたところで幕となったので、そこは救われたか。

現代口語演劇を捕らえたままで身体性と改めて向き合う、というのは、すごく真摯かつポイントを付いた試みだ。それを、色んな形のスキットで試して いくという点で、非常にポジティブな芽に溢れていたと思う。ただ、それを、冒頭の"Shut in"の完成度くらいまで練っていく時間がかけられていたらなぁ、とは思う。
それだけ、冒頭番外編の"Shut in"は練れていた。ひょっとすると、その空間を引き摺って(比較的粗削りな)本編に入ったのが後半の息切れ感に繋がったのかもしれない。

アイディアを練って練り上げて、観やすく美味しく仕上げたら、きっとヨーロッパ企画のようなものが出来るのだろう。出来上がったそいつを見直し て、役者の身体性と「説明しない普通の台詞」をもってぶち壊して、それを組みなおして舞台に載せると、それはスッごく面白いものになる、はずだ。その 「芽」は確かにあった。「タイムマシーン」を観よ。充分にくだらなく、充分に等身大で、存分に想像力を刺激された。

欲を、言えば。西村企画を観るの、これが3回目だったけれど、前2作には、良くも悪くも、西村氏の世界に対するみょーな生真面目さ、があったと思 う。それは、巧拙・切り口とは別の、「味」のようなものだ。それが、今回、「くだらない」をキーワードにしたことで、ちと薄れたかもという気がしてきてい る。「ラインを踏み越えること」という、何だかおぼろげなコンセプトは今回もあったのかもしれないけれど、できれば、次回以降、この「くだらなさ」は引き 続き舞台に載せながら、1本縦糸を通して芝居を組むことを期待してしまう。まっこと、観客の欲には限りがない。

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