2007年11月11日日曜日

タテヨコ企画 カタカタ企画3本立て

10/11/2007 3本

昔、イギリスの有名美人女優が「何故デブの男がすきなのか?」とインタビューされて
「だって、お腹の襞ひだの中に色んなものが隠れていそうでミステリアスじゃない?」
と応えていた。

実はこの受け答えは、男が痩せていたって成り立つはずだし男女が逆転してもやはり十分成り立つはずだ。秘密が隠されているミステリアスな場所は、 痩せたあばら骨の段々の陰であったり、肘を曲げると出来る皺皺の中であったり、つむじの中を掻き分けた中であったり、上腕の裏側下部(これはミカドのカ ティシャのチャームポイントである)だったりするわけである。
要は、2人の関係は、それらのヒミツの場所を興味をもって覗き込めるかにかかっていたりもするのだ。

で、この、カタカタ企画三本立て、「そのときどきによって」「夏が来ない」「うそつきと呼ばないで」だけれども、まさに、タテヨコ企画のヒミツの 場所を見出すのにふさわしいギャラリーカタカタという小さな小屋を得て、観客としては、さて、どこにどんな皺が見つかるだろうかと胸をときめかしたわけで ある。

横田戯曲は、その意味で、特に肥った三段腹の芝居ではない。どうかすると見逃してしまいそうなさざなみ、「良い人しかでてこないじゃない」と思わせるすっきりとした佇まいの中に、実は隠れたほくろがポツポツと仕掛けられている。それが良い。

ただ、勿論、小さな小屋で役者と観客の距離が非常に近いのだから、痩せてるくせにお腹に贅肉の付いた裸を「ほぅれ、ほぅれ、この皺、この皺を見 れ」とグイグイ押し付けてきては興醒めである。今回、横田氏を含めて3人の演出家が3作品を演出したのだけれど、そこら辺、それぞれに、
「ほぅれ、ほぅれ」路線で来るのか、そこはかとなくヒントをちらつかせてくれるのか、違いがでてきて、そこで良し悪しが分かれていたと思う。だから、良し悪しはひとえに演出によるのであって、役者の良し悪しとは違う。

でもそんな中でやはり、「うそつきと呼ばないで」での舘智子さんの笑った目尻は格段にミステリアスで美しかった。ともするとアッサリしがちな横田芝居に実は秘められている「色気」が感じられて気持ちよい。もう1つ、「抑えた好宮温太郎」も収穫だった。

小さな場所で、役者6-10人、1時間15分ずつ。これはこれで気持ちよい。でも、次の駅前にはもっともっと要求したい。1本勝負の中に、観客が見逃してしまいそうな皺をどれだけ織り込んでいけるか、楽しみにしています。

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