2010年9月14日火曜日

前橋南高校 黒塚Sept.

28/08/2010

高校生の演技は何度か拝見したことはあるけれど、「高校演劇」を観るのは初めて。花道付きの国立劇場の舞台、なんだか「エラい先生方」が沢山いらっしやる感じの客席も含め、まずは「全国高校総合文化祭」の雰囲気が、素直に面白い。まあ、良いことも悪いこともあるけれど、こんな感じの客層の芝居には、それほど積極的に来ようとは思わないかな。

ま、それはともかく、前橋南高校のSeptember。「なぜ大人の上から目線を気取るのか?」という至極もっともな批判を浴びることを承知で言うと、「高校生ですでにこの技量か」という驚きが真っ先に来た。本当に、自分が高校生のころを考えると、また、自分がイメージしていた「高校演劇」と比べると、今更ながら雲泥の差があって、思わず「失礼しました」と心の中で自己批判。

引きこもりの高校生の現実と妄想が、とある夏のうだうだした夕方の中で交錯する。この「うだうだ感」が、「ああ、これ、妄想シーンだね」とか「ああ、夢オチ芝居ね」といった「あるある」な予定調和から観客を引き離す効果を持つことを、作・演出、演者ともに理解して、上演に臨んでいる。そこが良い。

弟役もとっても美味しい役なのだが、そこをぐっと抑えて演技するのもよい(実は僕は「弟の話を振りながらも実はお父さんが部屋に入ってくるのがシュールでいいな」なんて思ってたのだけれど)。ヨメは「なぜジャックスをかける?誰の趣味だ?」という突っ込みを入れていたが、そこらへんも、実は顧問の先生とのうま-いバランスなのかな、と、好意的にとる。

残念だったこと2つ。1つ目は、ラスト、暗転⇒明転⇒ごあいさつでなくて「緞帳が下がって幕」となるのは、この芝居ならあり得ない。思わず噴き出しそうになった。悪い意味で。2つ目はそれともからんで「もっと小さい小屋で見たかったな」ということ。この芝居を見るのに国立劇場の客席では遠すぎる。せめてキラリふじみ、吉祥寺シアターぐらいの近さなら、もっと楽しめたのに。そして、もっと厳しい芝居を期待できたのに。

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