11/07/2010 マチネ
素晴しい上演。空間をダイナミックに揺り動かし、色彩を抑えが舞台美術であるにも拘らず様々なカラーが空間に溢れて、休憩無しの140分間、全く飽きることがない。
演出ノートに「結局は(・・・)世代間の争い」と書いてあって、そんなありきたりのものを見せられてもなー、と心配していたのだけれど、まったくの杞憂に終わった。舞台に載せてあるものは、もっと様々なニュアンスに溢れ、熱量が満ち、「とどのつまり」のお説教に還元しえないものだったと思う。
リア王の老人ならではの驕慢・怒り・恨みつらみ・諦念等々が、ドロッドロの情念が溢れ出すかのように描かれるのではなく、まさに大樹の中が空洞化し、かさかさになって、やがて折れるかのように描かれているのが印象に残る。それが、「若い世代」のドロッドロの打算や野望に満ちたウェットな演技と対照的。
グロスター伯とエドガーの再会シーンは、広いはずの舞台の上で二人の間に何の夾雑物もなく、なんとも二人の熱量が舞台中を埋めて、これから先グロスターとエドガーの道行きは涙なしでは語れないはずなのに既に涙が出てきて、これからどうなっちまうんだと本当に困ってしまった。グロスター伯・エドガーのシーンはずっと良かったのだけれど、リア王も負けじとみせる。本当に退屈する間もなく、しかも、「あっというまのローラーコースター」ではけしてなく、しっかりと濃密な時間を流して見せて、本当に、最大級の尊敬に値する舞台だった。
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