17/10/2009 ソワレ
再演初日。
初演時と役者ほぼ総入替での再演。白神未央さんが拝見できないのはとっても残念。
役者入替わって、好きになったところもあり、「初演の方がよかったなー」と思うところもあり。
そこは甲乙つけがたく、逆に言えば「大幅にパワーアップしていた」という感じではない。
ただし、初めて観た時には「時計をみながら人数を数えてしまった」のだけど、今回は時計を気にせず一人ひとりの死に様を堪能させていただいた。よりこなれた感じ。
「よし、岸田戯曲賞受賞作品を、東京芸術劇場で観てみよう!」
という向きにはやさしい仕上がりだなー、と感じた。
マッチ役の師岡「モンチ」広明、穢れなき悪意むき出しで出色。
ところで、僕は初見時にこんなことを考えていた:
要は、「生きているということは死んでいないということだ」という単純な理屈である。
「生き様」を描く足し算の芝居ではなくて、バタバタと人が死んでいく末に1人だけ生きている、その結果として「生きている」ことを背負わなければならなくなる、そんな、引き算の生を観客に提示するのに1時間50分かけて見せる。
そうだったのか。すっかり忘れていた。
初演時には、エッジの立った、悪意に満ちた、骨太の意匠を持った作品として観ていたものが、今回は、エンターテイニングな作品として僕の眼に入ってきている。それをどう捉えるか。
・ 一度観ただけで作品の構造・意匠に飽きてしまったのか
・ 演出の意図として初演時にはエッジが立って悪意に満ちていたのか
・ 初演時にエッジが立って悪意に満ちていたのは実は観客としての僕だったのか
・ それともなんなのか
分からない。でも、そうやって思い返してみると、ラストシーン、初演時はもうちょっと怖くて、突きつける感じで、マスターはもっと不安そうに見えていたかもしれない。今回の岡部氏のマスターは、もうちょっと強いような気もする。もしかしたらその辺の微妙なニュアンスだけなのかもしれない。
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