2009年10月13日火曜日

唐組 盲導犬

11/10/2009 ソワレ

当日券で入った赤テントは大入りに近くて、当日の観客を収容するために若干客席が上・下に広がったりして、やっぱりテントは融通が利いてよい。

盲導犬は初見。古の名作、という期待もあったのだけれど。

何だか、全体に元気が無いみたいで、がっかりやびっくりよりも先ず、心配になってしまった。唐組を観始めて、こんな気持ちになったのは初めてだ。若手も含めた役者陣奮闘するも、どうにもグワァーッと盛り上がらないのは、どうも役者のせいじゃないように思えてしまった。

考えてみるに、唐戯曲で最も僕が気に入っている部分 - 妄想がイメージを呼びイメージがまた妄想を呼び寄せるめくるめく妄想オーバードライブ - が、その居場所を単色のイメージ「ファキール」に譲ってしまっている感じがしたのだ。オーバードライブや脱線や、どうでもよいことの渦巻きが、今回は余り見られなかったのが、どうも僕にとっては「元気が無い」という風に見えたように思われるのだ。要は、「好み」ということだといわれればそれまでだけど。

高度成長期の炎熱サラリーマンがバンコックで後頭部を撃ち抜かれたまま、妻の成り代わった盲導犬に曳かれて永久に南シナ海を渡り続けるイメージはあまりにも美しい。
が、そのシーンの美しさと、「前の公演でもうつくしかったんだろーなー」と思ってしまう、そういうところだけが突出してしまう舞台は、逆にすこーし不幸せだったりもするのである。

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