16/10/2009 ソワレ
初日。
セロニアス・モンクのピアノについて、当時(1940年代)を知る女性が次のように語るのを聞いたことがある:
「いっつも何だかとんでもなく思いがけない音を出して、えーっ、じゃあ次に一体どんな音にいくつもりなのかしら?とハラハラしていたら、これまた思いがけない鍵に指が着地して、その音がまたキマッてたのよー」
すごい。そうやって、聴き手をハラハラさせる力、モンクならではである。
岡崎藝術座にもそういうハラハラ感がある。一体どこに着地するのか、まったく読ませない。観客の集中力は、物語とか仕掛けとかに惑わされる暇もなく、次の一手、次の台詞、次の役者の動きから切り離されない。そうやって、80分あっというまに過ぎる。そうして、終演後、そこに、物語や仕掛けではなくて、劇世界があったことを思う。
今回は、力たっぷりの役者陣を迎えて、実は、ちょっと、「安心して観ていられる」感があったような気もする。坊園さんの冒頭、不安に満ちた目はどうやっても忘れられないけれど。
トータルでは、初日でもあり、もっと乱暴な舞台になるかなー、と思っていた。が、予期に反して、(そして、ちょっと不本意ながら)、とても面白かった。地に足が着いて、面白かった。
敢えて乱暴な注文をつけるなら、「これではとても、これだけ力のある役者陣をもってしても、着地できないのではないか」というところまで一旦引きあげてみせる無謀な試みも、もちっと観たかったりする。
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