2007年12月22日土曜日

青年団 火宅か修羅か

21/12/2007 ソワレ

初日。客入れ中の役者の動きからしっかり見たくて、開場と同時に入場。青年団を見るなら、ここから役者の立ち居振る舞いに注目したい。
案の定、古館寛治、客入れ中でしか出来ないベタなネタを披露。早めの入場がお勧めである。

が、客入れ中、役者よりも実は目を奪ったのが、舞台の美しさで、この舞台は帰国後見たアゴラの舞台の中で1,2を争う出来である。アゴラをこんな に広く見せながら、拡散させず、「空間を埋めに行った」気配をまったく感じさせないのと同時に空間をぴたっと閉じて、かつ客席に開いてみせる。それが、割 と青年団スタンダードの「上手と下手に伸びた通路、そこに挟まれたセミパブリックな空間」という教科書的要件をまさに教科書的にこなした上で達成されてい るのだから、余計に素晴らしい(後付けじみて聞こえるかもしれないけれど、このわがままな舞台をきっちり照らす照明の力も凄い)。この舞台を見るためだけ でもアゴラに足を運ぶ価値あり。

肝心の芝居のほうもしっかり出来ていて、特に、娘と別居で単身生活中の小生には、志賀廣太郎父と荻野友里娘の1対1の会話(まだ前半だというの に)の距離感に、いきなり泣けた。が、実は感心したのは、ボート部同窓会組の、さっぱりした、戯曲の意図をすっきりと伝える演技で、特に、古屋隆太は、 「あぁー、海神ポセイドンはこういう風に伝わるものなのだ」と、本当に感慨深く、かつ、良い役者の演技を見るよろこび、を感じた。

初演時に比べて役者の数を絞ったせいか、全体にもすっきりした味わいで、逆に、初演時のねっとり感を期待する向きには食い足りないかもしれないが、僕にとっては、青年団中堅・若手役者の魅力をとくと満喫する良い機会でした。

2007年の最後を飾り、2008年の幕開けとなるのにふさわしい良品でした。これで気分良く年を越せます。

0 件のコメント: