2007年12月17日月曜日

死ぬまでの短い時間

16/12/2007 ソワレ

岩松さんの暗いミュージカルか、というので観に行ったが、これは面白かった。子供には見せたくない、大人の芝居だ。一人、役者に子供も混じっていたが。

(以下、ネタバレですのでご注意ください)

この芝居に出てくるもの。
・ 上手奥の電話ボックス
・ 下手には狭いアパートの部屋
・ 人を殺してきて身投げしようとして遂げられなかった女
・ 兄貴分を勝手に慕う少年
・ 電話ボックスでおぼれる女
・ 身体の刺されたところに咲く赤い花
・ 踊り子を追いかける男(この騒がしさを観よ!)と助けようとする少年
・ 最後、町を出て行こうとする男。トランクつき。

あ。これ、岩松芝居のモチーフじゃないよ。唐さんの書く芝居だよ。第七病棟だよ。
だから、音楽だって、ここぞというところで何となくくらぁくかかるのさ。唐組だって、台詞ごとに音楽かかるじゃあないか。
北村・秋山は、岩松さんにとって石橋・緑なんだ。古澤氏は、一人で三人組を演じていたのだ(彼は実際、そういっても良い位に良かった)。

そう考えると、(過去10年の間に岩松さんが別な試みを既にしていたら申し訳ないが)、実はこの芝居は、唐さんの芝居に対する岩松さんなりの答なのではないか、という気がしてきた。
昔、グローブ座で観た「それからのジョン・シルバー」は、観た瞬間に
「岩松さん、唐さんの芝居を演出したい、とかいっておいて、その愛情が屈折したものだったがために、結果的に唐さんに喧嘩売っとる」
と思ったものだが、
この芝居も実はかなり喧嘩を売っている(しかも屈折せずに)感じだ。しかも面白い。

役者5人、岩松戯曲でこのエンターテイメントぶり、かつアングラの匂いプンプン。かなりお得感のある、かつ、ポジティブな驚きのある舞台だった。

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