20/05/2007 ソワレ
これはまた変な芝居を観てしまった。
というのも、この芝居が、
「どの登場人物もお互いのいうことを全く聞いていない」
ことによってドライブされていく様は、
「会話によって(明示的にせよ暗示されるにせよ)物語が紡がれていく」
芝居に慣れた僕にとっては、かなり気持ちの悪い進み方で、その、コミュニケーション不全から全てが成り立っていて、かつ、どこにも行き場の無い展 開、誰も何に対しても落とし前を決してつけない物語、なのに、細部のアンサンブルにさえも無頓着なそぶりを装う舞台が、なんと1時間40分観るに耐えてし まう、というのがまた驚きというか、不気味なんである。
特にうわっ、と思う役者もいないし(失礼!)、これはすごい、とうなるシーンも無い(これまた失礼!)。
でも、この、何だかぬらりひょんとした時空を最初から最後まで築き通してしまう力は、買う。
この、一見したところ力のある役者達が、「細かく作るんじゃなくて、エンターテイニングに仕上げるぜ」というので作った芝居が、実は何だかエンターテイニングというよりはへーんな出来上がりで、でも、へーんななりに観れてしまうということ。
マイルスが、「これからはダンスやるぜ」と頑張ったのにもかかわらずマイルスの音楽じゃとてもじゃないが踊れなくて、それでも70年代前半のマイルスは何だか良く分からないけど何回も聞いてしまう(Live EvilとかAgarthaとか)、まるでそんな感じだ。
もしかするとうまーく騙されているのかもしれない。いや、本当は面白いのかもしれない。いやいや、実際のところは面白くないのかもしれない。
今日のところは、少なくとも、楽しんだ。またも、Guilty Pleasure という言葉で誤魔化さざるを得ない状況である。
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