05/05/2007 マチネ
僕は、石川淳の諸国き人伝の冒頭、小林如泥の章を読むと、必ず泣いてしまう。その文章の美しさに思わず涙が出てきてしまうのである。
東京ノートの冒頭も、涙が出る。小林・能島・松田・山村のアンサンブルの美しさに、泣いてしまう。もしかすると、繰り返しになるが、平田オリザのコンポジションの美しさかもしれない。
日本語の美しさを否定してかかる男の芝居を観て、そのコンポジションの美しさに涙が出るとは、すっかり、してやられているわけだが、涙が出てしまうものはしょうがない。
もちろん、芝居が進んでいる間、ずっと涙が出続けるわけでもないし、だからといって中盤以降の芝居がたるいというわけでは全く無いのだけれど。それはきっと、何度観ても、いくら、方法や展開を分かっていても、やっぱり観るたびにびっくりしてしまう、ということなんだろう。
何度観ても、初めて観るかのように新鮮な芝居。観客冥利に尽きる。
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