2007年5月28日月曜日

燐光群 放埓の人

27/05/2007 マチネ

白状してしまうと、今まで観た燐光群の芝居の中で、最も面白かったのだ。

沢野氏の著作を(坂手さんによれば99%)手直しせずに役者が読んでいく。
芝居というよりもリーディングの様に言葉が編まれていくのだけれど、構成と演出と役者とで1つの芝居になってしまった。
その編み上げ方の力強さと美しさに、思わず見入ってしまった。

特定の本とか作者とかを下敷きにした芝居って、大抵面白くないという印象があるのだけれど、そういう先入観も覆してしまった。

役柄が入れ替わる。ナレーターと役者が入れ替わる。時に複数の役者が一つの役を引き受ける。そんな中で、沢野氏の本の中のキャラクターが、坂手さ んに憑依し、その憑依された自分をこれまた役者に憑依させ、その憑依させている自分を自覚しながらちょんと突き放してみたり、観客がそれをどう観ているの かを試すかのようにはぐらかしを散りばめる。

最後まで飽きずに観たが、終わってみれば2時間20分。長かった。だが、堪能した。

唯一気にかかるのは、「自分は今後一切沢野氏の著作を読まないのではないか。何故なら、今日の芝居以上に面白くならない可能性が高いから」という心配である。

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