2009年9月21日月曜日

トマ・カラジウ劇場 三人姉妹

20\09/2009 マチネ

鳥取市鹿野にある「鳥の劇場」。第2回鳥の演劇祭招聘作品。

まずはルーマニア語の響き。ラテンの言葉とスラブの言葉とドイツの言葉が入り混じっていて、代わりばんこにその出自を主張するかのように耳に飛び込んでくる。これを聞いているだけでも飽きない。

その不思議な響きの言葉に乗せて、構成にはほぼ手を加えず、しかしながら、「肉欲万歳!」が割りと強調された三人姉妹。
舞台の部屋が「通り道」として両側客席に挟まれた格好で設定され、足や手の細かい動きまでよーく見える装置。東欧の三人姉妹が大柄な芝居になってやしないかとの心配は杞憂に終わった。小さなところまできちんと演出が行き届いて、見ごたえあり。

その中で、クルィギンは三人のお尻さわりまくるし、マーシャはあけっぴろげにヴェルシーニンに迫るし、ソリョーヌイは露骨に野獣派だし、なんとオーリガとヴェルシーニンの愛のシーンまででてきて(「この解釈入れても、チェーホフは怒らないと思うよ」とはいっていたが)、ここまで行けばたいしたものです。

第四幕、姉妹が未来に思いを寄せるシーンで、何だか突然、通路状になっている舞台の上をつーっと風が吹きぬけた、いや、空間のかたまりがもうひとつの次元を手に入れて時空となり、劇場を超えて無限に伸びていくような気がした。「今、ここで起きること」にとことんこだわったチェーホフの戯曲にこの演出で最後まで引っ張って、最後にぶわっと広がりが出る。ちょっと涙出た。素晴らしい三人姉妹だった。これだから、鳥取には毎回来る意味がある。

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