05/06/2010
劇評セミナー第5回は中野成樹氏が自作「寝台特急"君のいるところ"号」を語る回。本当にたくさん語って頂いた。一見ランダムに話題を散りばめているように見せながら、実はかなりのところをカバーする感じ。
・中野氏が自分のジャンルの拠り所として譲れないであろう部分=「ブレンドとミディアムテンポ」=「吹奏楽とカシオペア」=人を煽らないスリル。まがい物っぽさ。
「日本ではオケが難しいから吹奏楽で演るしかない」みたいなことを芝居でやること。
・微妙なタッチや息継ぎの合わせ方=芝居の中での細かいところの処理。音楽との合わせ方。カーテンコールの長さ。
・四季のミュージカルを観ながらブロードウェイのミュージカルを想像して泣けること。
プラトンのイデアの話。
・「"君のいるところ"号」は、「ハヤワサ号」ではないこと。でもワイルダーであること。
「カシオペア」という喩えは何だかすごーく納得的だった。それは、中フラが一種極められるであろう場所への期待と、そこに対して僕が(ある程度納得しながら)感じ続けるであろうフラストレーションを同時に表しているように思われた。
セミナー受講生の方に「大学でワイルダー研究してました」という方がいて、これも大変勉強になる。中フラや柴氏の動きを見ているとワイルダーってもっと上演されている・読まれている作家かと思っていたら、意外とそうじゃないんだな。「おはなし」というジャンルが無自覚に日本演劇の(もしかすると世界の演劇の)大きな部分を占めているとすると、まだまだワイルダーの作品は"underrated"なんだな、ということも考えた。
「"君のいるところ"号」のタイトルのつけ方について尋ねる受講生がいなかったのは、一種驚きというか、やっぱりというべきか。あまりにもベタな質問なので避けたのか。アフタートークやったら真っ先に出る質問だと思うんだけど。それも面白かったかな。
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