13/01/2010
アゴラ冬のサミットのワークショップ第二回。
舞台美術家の杉山至氏が講師を務めて、「夕日を見つめるイメージ」ときた。
前回の松井周氏とのセッションでは、「言霊」の威力を目の当たりにした。言霊が異界への鍵となり、その異界に「構成員」を閉じこめる呪力を「名付け」が持つという体験をしたわけである。さすが異界をコスプレする男、松井氏である。そこらへんに、テクストから芝居への変換点・結節点の磁場が存在するというのは、言いえて妙だろう。
が、今回の杉山氏はロゴスの人である。そして、実存さんである。なんと、ヴィトゲンシュタインとレヴィ=ストロース、寺山から説き起こして、「言霊以前」の状態を探ろうという、これまたなんと一種無謀な試みである。
「言霊以前」をどう「あらわす」か。
かたちとか光とか音とか身振りとか、色々あるのかもしれないけれど、こと僕自身のことで考えると、どうしても言葉や物語の補助輪無しでは「そっちの方へ向かってみる」ことすら出来ないことを思い知った。ワークショップの他の参加者の方たちが、なんともあっさりと言霊以前のところへ飛び込んでしまうセンス、嗅覚に驚き、敬意を覚える。
いやいやいや、これ、「舞台美術」の人のワークショップだよね。一体何の関係が?うーん。あ、そうだよね。テクストを渡された舞台美術家には、こうやって、言葉の一歩手前を探ってみることも大事なんだね。だって、劇場に入ってきた人たちはテクストより先に舞台に触れるんだもんね。大抵の場合。
こういう機会、すなわち、他人の眼から見た「言霊以前」を、割と「安全な」場で目の当たりにしたり、こういう視座で舞台を腑分けしてみる機会は、なかなかあるものではない。この日もまた、ヘビーな、でも、面白いワークショップだった。
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