2006年11月25日土曜日

阿佐ヶ谷スパイダース イヌの日

初めて観ましたが、何でこんなに人気があるのか、とってもよく分かった。

伸びやかで、すっきりと、変な思い込みも、変な自己否定も無く、骨太な物語を力強く観客に提示していく。
過激な様でいて実は「芝居」の伝統のツボを押さえた展開にも、全く嫌味がない。

2時間50分近く、休憩なしの芝居を、飽きさせずに最後まで力強く引っ張っていく力量は、これはすごい。

そう、この伸びやかな匂いは、日本の小劇場で見つけるのは難しかった気がする。むしろこれは、ロンドンのストレートプレイの匂いだ。
あの、「本場」英国の、骨太な物語をあくまで骨太に、拗ねることなくケレンに走ることも無く、力のある役者が真っ直ぐに見せていく、そういう匂い。

日経の劇評はラストが気に召さなかったらしいが、何の何の。古今東西、骨太のお化け話はこうやって終わると相場が決まっている。僕はConor McPhersonのShining City を思い出してニヤリとしたね。

日本の「小劇場」でこんな芝居を観るのは、あたかも、日本の女の子の体型が西洋人に近づいてきたのに似る。昔はアメリカ西海岸のビキニの女性の伸 びやかな肢体は日本では見るべくもなく、「出かけていって見る(眺める)」ものだったが、今時の若い子には何だか負けてない人も多い、という意味で。

久々の本多で、舞台が遠く感じたけれども、それは、それで良いのだ。だって、細かなところに拘って楽しむ芝居じゃないんだから。

で、そうした伸びやかな芝居や肢体を前にすると気後れしてしまう僕は、ちょっと肩をすくめて呟くのです。
「すっげえいい芝居だよね。オレには出来ないけど」。
それから三福林でメシ食って帰りました。

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