24/10/2015 20:00 @Almeida
主演女優のバリバリ絶叫芝居で引っ張っといて、最後「今さらそれで終われるとでも思ってんのかー!コラー!」と言いたくなる幕引き。
何とも言い難い後味の芝居になってしまった。
王女メディアと言えば、別れた夫の妻、その父、果てには自分と別れた夫の間の2人の子供まで殺してしまうという、大変な人の大変な芝居なのだが、
このプロダクションでは舞台をまるごと現代に移し、メディアが王女ではなくて売れない物書き、別れた夫は若手新進女優に惹かれる俳優業の男、ということになる。
長髪かき乱して家族ほっぽらかしてマックに向かうメディアの姿が「いかにも」で、これまたクリシェに嵌まるのではないかと大いに不安になったが、
その不安を上回る絶叫ぶりでぐいぐい舞台を引っ張っていく。
このテンションで行くならば、最後は相当血で血を洗う大スペクタクルで締めくくるのだろう、と思いきや。
<以下、ネタバレ>
片方が男、片方が女のあしゅら男爵みたいな人が出てきて、その後の成り行きを全部解説してくれてしまったのだった。
え?
説明台詞でおしまい? と思いきや、
ラスト、相次ぐ悲劇に打ちひしがれた前夫がでてきて、どうしてくれるんだ、何をしでかしてくれたんだ、と言って、おしまい
(もちろんその間メディアは舞台上にいるのだけれど)。
<ネタバレ終了>
こういうラストを見せつけられてつくづく思うのは、平田オリザの巧さである。
そういう説明台詞にうんざりしていた観客に、現代口語演劇で、日常会話を使って、物語を「想像させてしまう」という、その、ずるさ!
その一端でも盗んできていれば、もうちょっと素敵な現代劇になっていた予感がする。
コロスの女性6人組のキャラが面白く、前半から中盤のペースを支えていた部分もあって、
メディアの絶叫ぶりにも目をつぶっていられたのだが、このラストのために1時間半我慢していたわけではないぞ、
こんなことなら最初から絶叫無し、静かな演劇で通してくれていっこうに差し支えないぞ!
と思いながらアルメイダを後にした。
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