17/10/2015 15:30 @Arcola Theatre
この芝居を観た同じ日の夕方、別の芝居で隣の席に座ったご婦人から、昼に観たEventideがどんな芝居だったかの説明を求められた。
自分でも月並みな説明だなーと思いながら、
「人生で得るものと失うものの話でしたよ」と言ったのだが、おそらく、今考えてみても、その印象は変わらない。
イングランド南部、海に近いところにある田舎の村のパブ。その裏庭。閉店になるパブの、嫁に逃げられたマスター、近所に住む、高速道路の路肩整備をしている青年、徐々に仕事を失いつつある教会のオルガン奏者の独り身の女。この3人の物語。閉店当日と、その1年後。人生で得るもの、失うもの。
こう書いただけで「いかにも」な感じがするかもしれないが、話の展開もほぼ予想通り。だから書かない。
設定された日付が、「閉店当日」と「そのほぼ1年後の、おめでたい日」というのが、まず、ひっかかる。「何故そういう特異な日を選んで芝居させなきゃならんのか。閉店の前の日とか、閉店が決まる前の日とか、そういう、普通の日を選んでもいいじゃないか」と、どうしても思ってしまう。
「特異な日の特異な瞬間の心の動きを説明してもらいたい」とは思わなくて、「特異でない日の、特異かもしれない特異じゃないかもしれない心の動きを想像させてくれよ」と、どうしても要求してしまう。自分の悪い癖である。これは一生直らない。
しかしですね。ラストのシーン。この青年にとって、本当に「特異な日」というのは、実は、「閉店当日」でも、「そのほぼ1年後の、おめでたい日」でもないってことが分かるんですねー。そして、この、ほぼ最後の台詞が、なんとも美しかったのですよ。
だから、それまでの、いろんなブツクサなものが、さっと飛んで、なかなか得がたい余韻が残る。
心に刺さる芝居を観たなー、と思う。途中の語り口とか、話の構成とか、登場人物の造形とか、何とも粗いなー、っていうような不満はたーくさんあって、もっと上手く書けたはずだ、と思うけれど、もう、それは、どうでもいいや。良い芝居でした。
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