2015年10月22日木曜日

The Last Hotel

16/10/2015 19:45 @Linbury Studio Theatre, Royal Opera House

初めてロイヤル・オペラ・ハウスでオペラを観た。
が、オペラと言っても、上演時間は一幕90分。アイルランドの若手作家・作曲家による作品を、会場はメインホールではなくて、Linbury Studio Theatreという、まぁ、名前の通りの、キャパ250人くらいのスタジオで。オーケストラピットには、エレキギターやアコーディオンも入れた15人くらいの小ぶりの楽団が控えている。

The Last Hotelは、この夏のエディンバラで上演されていて、評判もそこそこ良かった公演。今回は期間限定、6日間のロンドン公演である。

現代音楽に乗せた現代オペラ。歌はいわゆるメロディを歌い上げるのではなくて大変難しそうだし、話もかなり現代劇っぽい(ぽい、というのは、現代劇ではなくて、これはやはりオペラだから)。正直、観終わって、感銘を受けることもなかったし、衝撃を受けることもなかったし、オペラって面白いなー、とも思わなかったし、これから積極的にオペラを観に行こうと思い始めたりもしなかった。

舞台セットは、シンプルで格好良く仕立ててある。劇場の壁を上手・下手ともにむき出しにして、中央に若干舞台手前にかけて傾斜をかけた10m四方の平たい舞台。上袖、下袖にはテーブルや衣紋掛け、その他諸々のものが雑然と置かれ、舞台奥には2m位せり上がった土手がある。舞台の前面、蹴込みはちょっと奥に貼ってあって、客席から見える位置にはプラスチックのパイントグラスが雑然と。片方だけのピンクのハイヒールもひっくり返って放置されている。いかにも「何かをやりかけたまま」の「死の予感」をお客さんに「連想して下さい」とお願いしている。

4階建て、地下1階の、本島からは船でしか来れないところにある打ち捨てられたホテル。従業員は中年の男1人。使う部屋は地下のバー・レストランと4階の一室のみ。やってくるのは夫婦一組と身なりの良い婦人一人。この婦人は、自分がこのホテルで自殺する、その手助けを夫婦に頼んでいる。で、まぁ、最後にはこのご婦人、死んじゃうんだけど。っていう話。

ただ思ったのは、「このプロットで歌なしの芝居だったら確実に寝てたな。この歌でプロットがついてきてなかったら、やっぱり確実に寝てたな」ということである。つまり、歌と芝居が組み合わさっていたが故に、寝ることなく、最後まで観ていられた、ということで、それはもしかすると面白く観られた、ということなのかもしれない。
実際のところ、「台詞が歌ってる芝居」ってのもあるし、「台詞がラップの芝居」ってのもあるし、そもそも現代口語演劇だって、「歌ってないように台詞を言う」っていう振り付けが台詞についているだけの話なのだから、「台詞が歌の芝居=オペラ」も、あっていいんだよな。そうすると、オペラが面白いとか面白くないとかではなくて、やはりこのオペラが(ひょっとしたら面白いから最後まで眠らず観られたのだとしても)ガツンとはこなかった、と、そういうことなんだろう。

0 件のコメント: