2009年7月19日日曜日

カニクラ 73&88

17/07/2009 ソワレ

終演時に、それまで4人の俳優が劇場内に張り巡らせていたコミュニケーションの糸が、残像のように、あるいはまた中古の蜘蛛の糸のように、ぼやーっと残っている感じがして、それが気持ちよかった。

舞台上で台詞を言うということとは何でしょうか?お客に伝えることと、伝わることとはどう違うんでしょうか?舞台上で他の役者に対して台詞を言うとき、実はそれは、お客さんが「あぁ、他の役者に対して台詞を言っているなー」と感じてくれれば、実は本当にコミュニケーションをしていなくてもいいんではないでしょうか?だから、舞台上のコミュニケーションは、所詮インチキだから、インチキのままでいいんではないでしょうか?それではなんで役者は、一生懸命他の役者とコミュニケーションとるんでしょうか?いや、むしろ、コミュニケーション取れてない芝居の方に、「あぁ、ほんと、感動したー!」とおっしゃる観客が多いのは何故でしょうか?

ビシッと一発答が出るわけではないのだけれど、少なくとも、コミュニケーションの糸だけを、まるで、化学部の連中が木の葉を薬液に浸して葉脈だけにしてみせるように、舞台に載せてくれた。それが一種の高揚感やカタルシスに繋がったわけではないのだけれど、気持ちよく観れたことには間違いない。

0 件のコメント: