2009年4月5日日曜日

うさぎ庵 七歳の孫にジンを二杯飲ませた祖母

03/04/2009 ソワレ

工藤千夏の新作は、アメリカの実際の事件にヒントを得て、祖母・母・孫のズレと言うかなんというか、「幸せになりたい感」のすれ違いを描く。
水下・天明・鄭・畑中と芸達者を揃えて、客席もアフタートーク担当坂手洋二さんを含めヘビー級。

狙っている線とか芝居のフレームのアイディアそのものは悪くないんだと思うんだけど、工藤地夏の芝居は放っておくとコピーライターチックなサービス精神に流れて、どうしても「分かりやすく」「観客に優しく」が、必ずしも芝居を刺激的に持っていかない方向で出てしまう。それがもったいないと言うか、気持ちは分かるんだけど、と言うか。そんな作・演出に贈るべき言葉は、井伏鱒二大先生の言葉:

良心なんか捨てたらいい。

もっと自分の欲望をストレートに出して構わないんじゃないかな、と。自分の見たいと思うものを舞台に乗っけて構わないんじゃないかな、と。それがウェルメイドなのであれば、ウェルメイドを突き詰めるも良し。そういうことかな、と思う。

そこら辺の立ち位置の中途半端さをアフタートークで坂手さんに突かれて応えに窮する工藤氏。観客席からの質問も、「要は夢落ちですか?」みたいな、見方を誤ればトドメの一問、見たいに作用して、トークは少なくとも失敗だな。こういうみもふたもないトークはいかん、と、坂手さんに酒の勢い借りて突っ込んでから帰宅。

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