2010年8月18日水曜日

カナデコトビート おかえりんご

15/08/2010 ソワレ

初見。千穐楽。
こういう、素直な芝居を観たのはすごく久し振りだったと思う。変にあざとくて観ていられないシーンも無かったし(それは裏を返すと、あっさり味過ぎるということではあるけれど)、妙に押し付けがましくないし。なんだか、オレたち何が嫌いで叫ばない踊らない笑わせない芝居を始めたんだったっけ、ってことを思い返した。

ラジオ体操で始まる冒頭は大好きなシーン。こんな風に、「今後の展開思わせぶり」でもなく「冒頭ガツンとインパクトで」でもなく、でも「あぁ、いわゆる静かな芝居ね」でもなく芝居を始められたらいいな、と思わせた。で、そのトーンは良くも悪くも芝居が終わるまで継続していたし。母の役を男優が演じるのも、ギャグにせずにすごくきちんと出来ていて好感もった。

なので、もっとできるはずだ、行け!という感じが大いにしたのです。
前半出てきた、割と重要な役割をになう「かこ」が後半さっぱり出てこなくなっちゃって、「永遠の家族」だから祖母⇒母⇒娘、の話のはずが祖母二人に集約されてしまう印象だったのは残念。祖母二人+美容師のシーンは、正直「後半、あともう一盛り上がり」へのつなぎだと思い込んでしまって、眠くなってしまった。
美容師の彼も、イロモノはイロモノと割り切って、もう少しあざとさだしても大丈夫だったろうし、前半何度か使った「繰り返しとズレ」は、折角面白いんだから後半にもう何度か使ってもよかったのに、と思ったりもした。リンゴジュースも、小道具としてもっと使いでがあったはずだし、外から来た嫁ももっといじれるキャラクターだし。等々。

こう書いていると、なんとなく、「センスにしつこさがついてきていない」という風に括れそうな気もしてきた。そういう、観客の欲望をくすぐりながら寸止めの60分でお帰りいただくのは、ちょっと勿体無い。次は、もうちょっと、しつこいのを観たい。

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