2006年12月1日金曜日

パラドックス定数 Nf3 Nf6

また一つ、素晴らしい芝居を観た。
今年一番の二人芝居だろう(って、考えてみたら、二人芝居はこれしか観てませんが...)

収容所の地下室で2人の男がチェスを指す話。
後はバラしません。

アンケートにも書いたが、冒頭、最初の「すわれ」までは余計な説明シーンで、ちょっとドキドキする
(「まさか、38℃ はまぐれだったのか?」)
が、そこで10点減点した上で、100点満点の120点の芝居。

骨太のタイマン会話劇でありながら、チェスの駒を動かす手、チョークの動き等々、細部も観ていて飽きない。これは戯曲もよいが役者も演出もきちんとした方向感で神経が行き届いているからだろう。満喫した。

それにしても、野木さん、何故男芝居なんでしょうか?

高村薫の小説は実はハードボイルドの皮を被ったやおいである、ということは遍く知られているが、
ひょっとすると野木萌葱の芝居は、硬派男芝居の皮をかぶったやおいなのではないだろうか?
そうでもなければ何故この芝居のラストシーンはこんなにも切なく優しいのか(と、いきなり紋切り型だが、ネタバレを恐れてきちんとは言えません)、と思ってしまう。

(間違っていたらごめん。もう誰もが知っていることだったらやっぱりごめん。どちらにせよ、こんなことを口走ってしまいごめんなさい)

とにかく。だ。この面白さは少なくとも高村薫に肩を並べる。

この芝居、このレベルで2000円ははっきり言って安い。終演後の「是非観る場所を変えて再度どうぞ」に、コロッとなっちまいそうです。

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