2006年12月9日土曜日

青年団 ソウル市民三本立て

1日三本一挙上演の暴挙。これは見逃してはいけない。ということで。

意外に三本一気に観る方多いみたいだ。

一番余裕を持って観られたのはやはり「ソウル市民」。
台本を良く知っているので、よそ見・わき見し放題。青年団観劇の醍醐味はミクロのわき道にあり、と常々思っている小生としては、嬉しい立ち上がりである。
安倍健太郎の大工の背中にまずシビれる。彼のたたずまいが、ソウル市民のみならず、三本立てのフレームワークを決めた。気もする。ちょっと褒めすぎか。

初演から17年ということで、懐かしさの余り滂沱の涙が溢れるかと思いきや、全然そんなことは無かった。ただただ、面白かったです。

1919。出戻りの幸子が内地で感じたと語る心境は、小生が今年日本に帰ってきたときの驚きとかなりかぶる。
「日本人がチラシ配り・ティッシュ配りをしている!」
いかに自分が、人種差別が根付いた国に暮していたかを思い出させる。
ラストシーンは、「お父さんのお父さん」を意識したのだろうか?気持ちは分かる。芝居をやるなら誰しも「あの、ブルーハーツ」はやってみたいと思うはずだ。でも明治時代にはブルーハーツはいなかった。
青年団を観る時にはあるまじきことだが、幸子の台詞に感情移入してしまったこともあり、この芝居からもっとも強く閉塞感を感じました。

昭和望郷編。この芝居、望郷でもなんでもないじゃん。誰が、どこの故郷を思うわけ?篠崎家の人々、ほとんどが朝鮮生まれじゃん。と、突っ込んでも良いのだが、オリザはそこらへん見越してきちんと仕掛けを作っている。でももしかすると後付けかもしれない。
時代の雰囲気としては、1991年のバブル崩壊前夜よりも、むしろ、今へのアナロジーを感じました。
なんだか、「成長なくして財政再建なし!」、「これからは、上げ潮で行こう!」みたいな...
あるいは、「中東に民主主義を!」みたいな...

で、3本観終わって: 「肩凝りがひどい」。
来週が思いやられるが、でも、僕にとっては何度観ても面白い芝居です。若手の役者の成長にも目を見張った。来週の三本立てがまた楽しみです。

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