2015年11月8日日曜日

Ubu and the Truth Commission

31/10/2015 19:30 @The Print Room

1997年初演。南アフリカのアパルトヘイトから政権交代に至る時期の状況に対する、やるせない怒りに満ちた寓話。
ロングラン中の人気の芝居"War Horse"の人形を手がけているHandspring Puppet Companyによる上演で、
パペットの使い方、スクリーンへの投影等々、見所の多い芝居であるはずだが、
どういうわけか、新聞の評が悪くて、しかも「時代遅れになってしまった」とあって、一体どうしたことかと思っていたのだが、
実際観てみると、そういう評価は必ずしも、少なくともロンドンでは外れていないと感じた。

役者の技量のレベルが低いわけでもないし、人形もよくできてるし、投影もシンプルながら力強いメッセージを映して、それ自体は悪くない。
ただし、全体に漂う雰囲気が、なんだか、古典芸能、っぽいのだ。
何をもって古典芸能と呼ぶのかについては、なかなか定義しにくいところはあるけれども、でも、古典芸能っぽい。
「はい、今日はこれをやりまーす」「お客さんはこれで納得して下さいね」感だろうか。なんだろう?
昨年観た「暗愚小傳」が、25年ぶりに観ても力強さを失っていなかったことと比べてしまう。

この芝居を今観て、同時代の力強い芝居として捉える観客もきっといるはずだ。そしてそれは、現在の南アフリカの人ではないという気もする。

だから、この芝居を「古くさい」と感じてしまうのは、ロンドンで芝居を観ていたり、東京で観ていたりするから、すなわち、「すれているから」かもしれなくて、
そう考えると、むやみに古くさいと決めつけてしまってはいけないのかもしれない。

いや、実は、1997年の時点で、もう既にこの芝居は「古くさく朽ちてしまう」ことを運命づけられていたのかもしれない。
テーマがたまたま時宜を得ていたために、ヒットし、人々の記憶に残っているのかもしれない。

これは、難しい。でも、確かに、古くさかったんだ。

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