14/11/2015 15:00 @Trafalgar Studios 2
タイトルの「4分12秒」。自慢の息子がガールフレンドを半ばレイプして撮影し、その後ネットに流出したビデオの尺。
ガールフレンドの家族(こわーい兄貴とこわーい親父)が激怒して、さあ、どうする両親、という話を、
両親の会話を軸に、息子のガールフレンド(今や元カノ)、親友の男の子で描く4人芝居。
色んなことがネットで広まるって怖いよねー、っていう時事ネタはご愛敬、そこにフォーカスした「ネットって怖い」芝居ではない。
この芝居のコアのテーマは、「本当に取り返しのつかないことをしでかしてしまったときに、どうするのか」「どうしてあげられるのか」「どうすれば気が済むのか」ということである。
ネットの普及は、その取り返しのつかない範囲を飛躍的に広げてしまったのかもしれないけれど、世界が広かろうと狭かろうと、本人にとって取り返しがつかないことには変わりが無い。
そういえば、昔、吉田戦車のマンガに、
「よし、取り返しのつかないことをしよう!」って宣言してから、オーディオの蓋を開けて中に納豆をぶちまけて、「あー、本当に取り返しのつかないことをしてしまった」って言ってみせる、ってのがあったけれど、それ位取り返しのつかないことをしでかしてしまったとき。
捨ててしまえば済む問題ではない。
が、この芝居には、しでかした当人である「息子」は出てこない。それは良かったと思う。本人の気持ちを長々と吐露されていたら、ぶちこわしだっただろう。
しでかしてしまったことが、どれくらいのマグニチュードを持つのかは、4人の登場人物それぞれに異なっていて、それも、状況に応じて移り変わる。その見せ方は面白い。
その中にあって、演技の達者な両親役が、演技が分かりやすすぎたり先が読めたり(要は説明が上手すぎるのだ)して、紋切り型に陥りがちだったのに対し、
若い役者2人の演技がとっても面白くて、特に息子の元カノの女の子が素晴らしかった。
「取り返しのつかないことをされたときに、どうすれば気が晴れるのか」
について、ドライに、泣きを入れず、答えを示さず、説得力をもって演じて五重丸。
ちょっとおとなしめの男の子を演じた若い役者も、余計なニュアンスをつけず、複雑な気持ちを単純化せずに舞台に載せて好感度大。
総じてこじんまりと纏まって、見やすく仕上がっていたのは両親役の上手な演技の功罪。
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