07/11/2015 19:30 @The Gate Theatre
オーストラリアで初演された現代版メデイアをUKの役者で。
母親に殺される息子2人に焦点を絞って、60分の芝居の9割方を子供2人でカバー。
この子供の演技がとてつもなく素晴らしい。
全く退屈せずに観ていられる。むしろ、息をのんでずっと観ていられる。
小道具の配置やそれとない話題の振り方も気が利いていて、それもすばらしい(それはもともとの戯曲の力)。
2階の子供部屋に閉じ込められた2人が、母親(それとも父親)が迎えに来てくれるのを待ちながら時間をつぶすのだけれど、
ケンカあり、お漏らしあり、駆け引きあり、兄弟愛あり、
どういう演出をつけたのか知らないけれど、とにかく、演技の中に思わせぶりが一切入ってこなくて、本当に素晴らしかった。
そのまま芝居が終わっていたら、ひょっとしたら今年観た芝居ベスト3に入るくらいのできあがりだった。
が。しかし。
母親(メデイア)が登場して、泣きの入りまくった「あなたたちを愛してるのよー!」な演技をご披露されたことで、芝居が壊れた。
全てが台無しである。
だいたい、子供を殺す局面ではみんながみんな追い詰められた表情をしなきゃならないと考えた時点で、演出と役者の想像力の貧困丸出し。
南伸坊なら満面に笑みをたたえながら、安部聡子なら笑ってるんだか泣いてるんだか何だか分からない薄笑いで、原節子ならいつまでも優しいお母さんの顔のままで、2人の子供をサクサク殺してしまうはずである(原節子はきっとその後、国外脱出してから3年ぐらいたって、「私、本当はずるいんです」と言うに違いない)。
そもそも子供を殺すと決断するまでの心の移り変わりが勝負所なのであって、実際にそれを実行する場面になって
ハーヒーハーヒーな顔をして見せてくれたところでまったく説得力ないし、クサいだけ。
この間みたAlmeidaのメデイアは、前半の絶叫芝居はキツかったにせよ、少なくとも最後の泣きまくりだけは回避していたよ。
わたくしは、声を大にして言いたい。
メディアの主演女優は、泣きの演技禁止!!
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