10/08/2007 ソワレ
東京デスロック、僕にとっては今年の夏休みのメインメニューの一つである。妻と娘にとってはサマーソニックの前哨戦である。
この劇団、演出、この役者陣ではずれるわけが無い、と予め家族には断言していたものの、いざ幕前となるとさすがに緊張する。もしこれで万万が一面白くなかったら、父権の凋落間違いない。
ということだったのだが、結論から言うと、一瞬でも「もし面白くなかったら」と考えたオレが悪かった。デスロックの皆様、すまなかった。東京デスロックは疑う余地無く、今、東京で一番面白い劇団の一つだ。
こういう芝居を観ると、まずは、やはり、「クリアすべき一定のレベル」というものが芝居にはあるのではないか、と考えてしまう。この芝居はいろいろな面でこの「一定のレベル」を超えていて、凡百の劇団と一線を画す。
が、その上で、さらに、どんな面白いことが出来るのか、を考えて実践してしまうのが多田氏のエラいところで、また、デスロックを観に行く楽しみでもあり、そこに全く頭が下がる思いである。
で、そんな風に色々あったうえで、さらにさらに、舞台がはじまると役者(+舞台)を見ているのが面白くて面白くて、上手奥から下手手前まで、髪の 毛の先の育毛スプレーから土踏まずまで、何一つ見逃すまいと思って一生懸命観るのだけれど当然全てを観つくすことはできなくて、そこが芝居の醍醐味だとそ れすらも喜ばしく、また、多田淳之介のスカした手管に自分が乗せられているかと思うと心憎く、そうやって役者(+舞台)を食い入るように観ている間に90 分過ぎた。
この芝居、アゴラで火曜日までというのは本当に勿体無い。無理してでも観に行く価値あり。
娘も「かっこよかった」を連発。父権は悠々と守られた一幕であった。空腹につきアフタートークをきけなかったのが残念。
以下、内容について二、三言うと(これから観に行かれる方は、特にネタバレじゃないですが、読まないほうがよいと思います)
・誰が現実で誰が海に作られたのかが、最後まで分からないし、考えれば考えるほどいろいろな解釈ができる仕掛けになっている。それが良い。
・役者陣は事前の予想通り全員、よし。
・アゴラにプールとは恐れ入った。アイスホッケーのリンクのようなプラスチック板も良し。舞台で水掛け合ってしかもアングラにならないとは、さすがである。
・声を大きくしたり、わざと変な声を出してみせるところは、実は夫婦意見分かれたところで、「奇をてらっているわけではなくて、一定のロジック立 てをして見せ方も考えた結果なのだから可」とするのか、「だからこそ、その声の調子に頼って中盤若干だれた」というのか。しかし、一致したのは、そんな箇 所ぐらいでしか議論にならないくらいにきちんとした芝居だった、ということ。
でも、春風舎でやるときと比べて、今回はちょっとよそゆきだったかな?
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