2017年3月27日月曜日

The Kid Stays in the Picture

11/03/2017 19:30 @Royal Court Theatre, Downstairs

ハリウッドの映画プロデューサー、Love Story、The Godfather、Cotton Club等を手がけたロバート・エバンズの自伝を、サイモン・マクバーニーが舞台化。
3月4日がプレビュー初日。テクニカルに相当作り込んだ舞台にするのだろうから、若干こなれてきた11日に観に行くのが良かろうと思ってRoyal Courtまで来てみれば、何とプレビューは延期されていて、筆者の観る回がプレビュー初回ということになっていた。道理で怖い顔したマクバーニーが劇場内歩きまわっとったわ、と妙に得心。本当の初回が観られて、吉と出るか凶と出るか。幕前にRoyal Courtの芸術監督とマクバーニーが並んで出てきて、「新作プレミアへようこそ! 実はゲネもやってません、よろしく!」みたいなご挨拶。80年代小劇場演劇、アリス界隈ではそういうのも結構あったよなー、何て思いながら、このわくわく感は、正直、大好きです。

で、パフォーマンス始まってみると、こなれてないのはしょうが無いとして、テクニカルな理由で上演が途切れることもなく、無難に公演終了。舞台上のアクリル板に、客席上に設けられたプロンプターのディスプレイが映り込んでいて「ああ、台詞入るところまで来ていないのかなあ」と思ったが、後でメディアのレビューを読んでもどうやら映り込んでいたみたいなので、おそらくそれはプレビューだから、ということではなかったのだろう。

語り手と身体を動かす人を分けたり一緒にしたり、投影した背景と役者を並べてそれを更に撮影して投影したり、それはそれはテクニカルに大変なことをやっているのは良ーく分かったが、構成・意匠としてはBeware of Pityとそんなに変わることがなかったし(しかもBeware of Pityの方が、観客と語り手の距離の取り方と、記憶の共有の仕方とに、はるかに説得力があった)、一方で、物語の「語り」の一形態としてこの舞台を捉えるとすると、導入から客の引っ張り込み方、突き放し方等々、Encounterには比べるべくもない。この、ハリウッドプロデューサーの一代記を、なんで語りたくなったのかが明確でないまま、メソッドだけは自分が目下取り組んでいることを思いっきり放り込んで、どうだ? っていう感じなのだろうか。

もちろん、役者も達者だし、話自体も荒唐無稽かつノンフィクションなので、へえー、という感じではある。でも、そこまで。それ以上になにか、と言われると出てこない。
要は、ピンと来なかった。あるいは、面白くなかった。あるいは、フツー。

マクバーニーに対し、常に、より新しいことを求める、ということではない。コンプリシテのプロダクションが過去100%面白かったというわけでもない。だから、この作品がイマイチ冴えないからといって、マクバーニーへの信頼度が落ちるわけでは全くないのだけれど。

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