2017年3月27日月曜日

Amadeus

14/03/2017 19:30 @National Theatre, Olivier

2016年シーズンNational Theatreのスマッシュヒット。とにかく評判が良くてチケットも取れず、ようやく観ることが出来た。やはり、文句の付けようのない出来映え。

筆者は学生時代、英語劇でこの芝居にかかわっていたので、全体の構成、細かい台詞、そういうところまで割と覚えていたのだけれど、それと比べても、今回のプロダクションでは、特に奇をてらったとか、大幅に切り貼りしたとか、そういうのは感じなかった。飽くまでスタンダードに、でも、2017年に上演するからにはその観客に向けてどのように見せていくのか。そこへの目配り・気配りが本当に丁寧で、その丁寧さを実現できる予算もバッチリついて、なんて羨ましいプロダクションなのだろう、と思ったことである。

生真面目なサリエリに、下ネタ連発のモーツァルト(30年の月日を経て、それなりに年取って、英語の単語も増えてから聞くと、そのお下品さが分かり易くなっていた!)、おバカキャラ全開のヨーゼフ二世、かわいこちゃんでなくて、地に足がついていてすれてさばけた感じのコンスタンツァ、生声でマジックフルートのアリア歌って魅せたカテリーナ、何故か映画でも英語劇でも今回プロダクションでもしゃべり方が一緒になってしまうローゼンバーグ、嬉々として演技もしちゃうオーケストラの面々、幕間にステージ上で自撮りするバイオリニスト、楽器持った間者の二人、女性フォンストラック、その他全員、全ての役者が魅力的で、作りも丁寧で、なんだか、「うわー!素敵だなー」と、素直に思ってしまった。

<ここでネタバレ>
実は、アマデウスのクライマックスというと「死ね−!アマデウス、てめー、死ねやー!」の絶叫が英語劇以来頭にこびりついていたのだが、今回は、その絶叫は無し。
その代わりに、この生真面目なサリエリ、モーツァルトの家で一緒にすすり泣いちゃって、こりゃまあ、酷い女(ここでは神様!)に魅了されて、お互い貶め合ったりケンカしたり色々あったりした挙げ句、最後は両方その女に裏切られてすすり泣き大会、ってのが、驚きとともに、うん、それは大いにあり、もっともな展開だとも思えてしまう。

とにかく上質で、おそらく、演劇を見つけていない人にも100%楽しめて、隙の無いプロダクション。UK演劇の底力。

0 件のコメント: