2017年3月25日土曜日

Roman Tragedies

19/03/2017 16:00 @Barbican Theatre

いまや大人気のオランダ人演出家Ivo van Hoveがシェークスピアのローマ悲劇3作品「コリオレイナス」「ジュリアス・シーザー」「アントニーとクレオパトラ」を一挙通し上演。
途中何回か、5分ぐらいのトイレ休憩をさんで、合計6時間。途中、舞台上に上がってそこにある(ひょっとするとさっきまで役者が座っていた)ソファに掛けても良し、端っこに立ってても良し。
舞台上には売店もあって、軽食・飲み物購入可能。

正直、Ivo van Hoveの芝居については「ケッ」と思うこともこれまで何度かあって、今回も「ビジュアル過多の肩すかし」を心配していたのだが、なかなかどうして、大変楽しんだ。
「舞台上出入り自由」にするところとか、「ビッグスクリーンに役者大写しになっているのだから、必ずしも客席から舞台が見える必要無いでしょう」と割り切ってしまうところとか、「オランダ語+英語字幕でも、字幕をビッグスクリーンに投影すれば、観客は首を動かさなくて良くて楽でしょう?」という割り切りとか(えええ?じゃあ何で舞台で上演するの?という突っ込みは取りあえず放って置かれている)、「物語の進行の説明にニュース番組を使ってみせるとか(しかもその使い方は、アイクのハムレットに比べると相当ダサい感じ)」、そういう、「生の舞台を楽しみたい派」を置き去りにして、できるだけさらっとご覧頂こうという趣向が功を奏して、6時間通し公演、シェークスピアのローマ悲劇3つをぶっ通しで観ても疲れない。ゆるーいエンターテイメントとしての完成度は非常に高かった。けだし、「わくわくシェークスピア悲劇ランド」と呼ぶに相応しい仕上がり。

一方で、役者は、極めて普通の演技を見せる。モダンな家具の配置に、ダークスーツの登場人物たち、マイクを握っての演説等々、「現代風」の趣向は見せるものの、取り立てて凝った演技は見せず。そこが、ギトギトに飾り立てたテーマパークな演出とのカウンターバランスとして働いているようにも見えた。
アントニーのシーザー追悼演説を舞台上・間近な位置で見られたり、カシアスとブルータスのいさかいを近くで眺めたり、舞台上でぼーっと座ってるシーザーの亡霊に目を向けてみたりと、ジュリアスシーザー好きの筆者にはとても「楽しい」舞台だった。アントニーを演じたHans Kestingが出色。

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