2015年12月9日水曜日

Sparks

29/11/2015 14:00 @Old Red Lion

日曜日、劇場に向かうバスが15分待ちで、これじゃあ間に合わないってんで地下鉄に乗ろうと思ったらそれがこの日曜日に限って区間運休。
なんとなーくイヤーな感じがしていたのだが、
それをすっかり帳消しにする、観ていて心地よい芝居だった。

12年間生き別れになっていた姉妹の再会を描く1時間50分、ほぼ2人芝居。役者が良かったからか、最後まできちんと観ていられた。姉妹の芝居なので、中にはおセンチが入るシーンもあるし、ちょっとご都合主義かなー、というところもあったし、特に終わり方はどうかと思ったのだが、それをもってこの芝居の値打ちは下がらないだろう。
「良い芝居を観させて頂きました」と思える、充実した時間だった。

ある雨の夜に突然訪ねてくる12年間音信不通だった姉。部屋に入ってくるなりお喋りの洪水止まらず、「あたしおかしいかしら?」と言いながら明らかに常軌を逸した喋りっぷり。重たいバックパックを開くとそこには酒壜がごっそり。挙げ句の果てには得意の白ワインボトル一気飲みを披露して芝居を引っ張る。
対する妹は、職場以外には外に出ることも億劫な、言葉数の少ないぱっと見内向的なくち。姉の突然の来訪にも受け身対応を余儀なくされるが。

冒頭の姉のお喋りが、あれだけのハイスピードで、しかも明らかに中身のないことを話し続けているのに、押しつけがましくなく、いくらでも聞いていられたのに、自分でもビックリした。ネイティブでない僕が聞いていても置いてけぼりにならないし、なにより、妹を無視して「私はこういうメンタルな女」みたいに観客にアピールする要素が一切感じられず、何故か好感が持ててしまう。お喋りの洪水の中に、何かしら、きちんとした、コアを感じたのだ。それは人格のコアかもしれないし、役作りかもしれない。役者本人のキャラかもしれない。でも、それは観客には所詮「見えない」ファクターだから、何でも良いのだ。とにかく、「アピールから入っていない」ことは確実で、それが素晴らしかった。最初は引き気味に入る妹も、抑えた表情の中に色々な感情が想起される充実した演技で応え、見応え抜群だった。

終わり方は・・・これはちょっと要らないシーンだったかなー、と素直に思ったのだけれど、そして、こんな終わり方するかなー、とも感じたけれども、
いや、このラストシーンが最初に想定されていたからこそ、そこから逆算した演技が姉妹の芝居を引き締めていたのかもしれない、だとすれば、1時間45分、十分堪能したのだもの、ラストへの不満も安いもんだ、と考えたことである。

いやー、なんだかね。本当に、小粒の良い芝居ってのは良いですね。

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