05/12/2015 13:00 @Dorfman Theatre, National Theatre
チャタレー夫人の恋人を書いたDHローレンスの3つの戯曲を一つにまとめて3時間の尺に詰め込んでみせた、力の入った芝居。
力が入っていたから傑作に仕上がっていたという気はさらさら無いのだけれど、力を入れて手間かけてつくっていることはよーく分かった。
下敷きになっているのは、"A Collier's Friday Night"、"The Widowing of Mrs Holroyd"、"The Daughter-in-Law"の3篇。
いずれもイングランド中部の炭鉱の街の貧しい家族を描いたもの。
が、そこで浮き上がる主題は、なんとも21世紀とそんなに変わっていなくて(いや、もしかすると、変わっていないように演出されていて)、そこは違和感なくすんなり観ることが出来た。上記3つの作品を順に僕なりに捉えた主題で呼ぶとすれば、「マザコンとその母」「よろめき妻と酔いどれ夫」「ダメな男と嫁と姑」。
どうです?すぐにも昼メロが10話分くらい書けてしまいそうな主題のオンパレード。
そういった主題なので、たとえ台詞の英語が古くって、"thee"とか"thy"とかの連発で、「すみません!何を言ってるのか、分かりません!」状態であっても話は十分に追える。
タイトルはHusband & Sons だけれども、焦点が当たるのはその妻であり母であり姑である。女性の心の動きを、丁寧になぞっていく。かつ、変に気張ったフェミニストアジテーション芝居でもない。
特に美しい女優を配してシンパシーに引き込む作戦ではないが、自然に引き込まれていったのは上手くしてやられたかもしれない。
特に「よろめき妻」の女優は、「シェイクスピア・ソナタ」の伊藤蘭さんに匹敵する素晴らしさだったと思う。「ダメな男と嫁と姑」の嫁も、スカートの前を掴む仕草がなんともいえず良し。
してみると、こういう昼ドラ芝居も、特に傑作というわけではなくとも、上手くやればオヤジをころっといかせることができるということか。
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