2016年10月9日日曜日

Our Ladies of Perpetual Succour

24/10/2016 21:00 @National Theatre, Dorfman

昨年エディンバラで観た「嗚呼! 花の聖マリア学園合唱部!」あるいは「魁! 聖マリア学園合唱部!」。今回も素晴らしかった。
1年の間に辞書引きながら上演台本読んでおいたのも功を奏し、内容でロストする部分も大幅に減って、大変楽しんだ。

去年観たときには、女子高生役6人の歌の上手さもさることながら、彼女たちの破天荒な行動や台詞のお下劣さもあって、
最後までテンポとパワーでもって行かれた感が強かったけれど、
今回は、展開も全て心得た上で臨んだが、いやはやどうして、テンポや破天荒さだけではない、この芝居、正統派直球の等身大青春ミュージカルじゃないか。

恋に悩み、バンドに悩み、進路に悩み、生と死について考え、酒もタバコもセックスもマジックマッシュルームもトイレお着替えも救急車も、おんなじフォームでビシッと投げ込んでくる。
そこら辺が、青春ミュージカルなのに筆者が面白く観られた大きな勝因じゃないかと思うんだ。
「愛」について語るお上品なミュージカルではないし、「悪意とゴミ溜めをありがとう」なミュージカルでもない。
汚いも綺麗も、ゲロも涙も、全てを同じ力強さで掬い取って、濃淡つけずに舞台に載せて、
それは実は、6人のティーンエイジャーの視線から見える世界との距離感で、つまり、舞台に載っている事柄は、すべて、彼女たちにとってはどれもおんなじぐらいに大切なことで、
だからこそ「それをそのまま彼女たちが舞台に載せました」という設定が効果を発揮する。

ラストの長台詞では、見てる絵としてはそのまんま80年代日本の小劇場演劇(かつ、等身大ミュージカル)みたいなのに、
Lee Hallが用意した台詞じゃなくて、「彼女たちが自分で書き込んだ台詞」みたいにきこえて、ついついグッと来てしまった。

脚色のLee Hallの主観は、そこも含めて、あまり強く芝居に反映されていないようにも見えるけれど、
舞台奥に光るマリア様の視線があって、それは一種、彼女たちを見守る目であり、客席から彼女たちを見守る視線の代わりになっている。
あるいは、最後にちょろっと出てくる駅員のおじさんの目線。
そういうところがあるから、この舞台はティーンエイジャー達の独擅場、「若い人向けのミュージカル」にならず、大人の観客が入り込む余地を残した、心憎い仕上がりとなった。

これ、日本人キャストでは無理があろうから、このまま日本にもってっちゃったらどうかな?
鳥の劇場とか、キラリふじみとかで観たらぐっとくるだろうなぁ。十分楽しめると思うんだけどなぁ。どうかなぁ?

0 件のコメント: