2017年4月25日火曜日

Travesties

05/04/2017 19:30 @Apollo

始まった途端に嫌な予感がする、あるいは、しまった、と思う芝居に出くわすことがある。今回がそうだった。

トム・ストッパードによる1974年の戯曲は、1917年のウィーンを舞台に、その街にいた(史実としては正しい)レーニンとトリスタン・ツァラとジョイスが、実は変なところ(この戯曲では市内の図書館)で鉢合わせていたら、あるいは、変なところで微妙にすれ違っていたら、という話である。それを、狂言回しとして配置された、これまた実在の、史実としては当時確かにウィーンに駐在していた英国外交官の記憶として「語らせる」という趣向。
タイトルの"Travesty"っていうのは「滑稽化」「こじつけ」「曲解」という意味だから、そもそもストッパード自身が「これはこじつけですから、真に受けないで下さいね」と言っているのか、それとも主人公の外交官の「捩じ曲がった記憶」を使ったメタな芝居なのか。

いずれにしても。冒頭出てくる外交官の老いた姿の演技を観て「こりゃいかん」となった。
「所詮パロディーなのだから、あるいは一人の老人の記憶の中で登場人物が踊っているだけなのだから、そういう風にぺらっぺらに行きましょう!」
ということかも知れないが、もしかすると、
「話しがあちこち飛び回る戯曲であるので、ある程度分かり易くしないと観客がついて来れなくなってしまうかも知れませんね」
という気遣いなのかも知れないが、いずれにせよ、如何せん演技が観客に媚びて、段取りこなしているようにしか見えない。
「内面の演技どうこう」という気は無いのだけれど、いや、そこまで観客の方を向いて演技しなくても良いじゃないですか、と思ってしまう。

この芝居、昨年Menier Chocolate Factory史上最高の興行成績を上げて後にウェストエンドに移ってきたというのだけれど、うーん、どうしたものか。

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