2016年1月19日火曜日

Jane Eyre

10/01/2016 14:00 @National Theatre, Lyttleton

ジェーン・エアです。ブロンテ姉妹の長姉、シャーロット・ブロンテが19世紀に書いた長編小説の舞台化である。
読んだことのない話なので、昨年11月に本屋で買ってきて読んでおこうと思ったら、550ページあって、しかもさすが19世紀に書かれただけあって、分からない単語てんこ盛り。
何とか半分まで読んだところで1月10日、千穐楽を迎えてしまった。

娘にいわせれば「ま、キャンディ・キャンディだから」ということだったのだが。

実際観てみると、話自体はやっぱりキャンディ・キャンディである。イライザもニールもエルロイ大伯母さまも出てくる(それは本で読んで分かってはいたけれど)。寄宿舎も心に傷を持つ貴族も出てくる。意地悪な金持ちで綺麗な娘も出てくる。ラストも正統派少女マンガを地で行く終わり方。
っていうか、日本の少女マンガの骨組み自体が、ここらあたりに起源をもっているのだ、と言った方が遙かに正確なのだけれど。実際。

あ、しかし、物語の作りと芝居の面白さは全く別物で。特に今回のように、たくさんの人に読まれている名作小説の舞台化では、物語にドキドキしようと思って来てる人は殆どいないだろう。舞台の上に、「あの、物語の、グルーブがあれば!」とか、「自分が長いこと抱いている原作の一枚画が、舞台上にあれば」とか、思っているんじゃないかと想像する。
中には僕のように「この話、読んだことないけれど、舞台の評判良いから観てみたい!」という人も、極々少数ではあっても、いるのだろう。

で、肝心の舞台だが。とても面白い舞台だった。
緩やかに前傾した舞台。そこに立つ、ちょっと見るとジャングルジムのような、骨組みむき出しの舞台。スロープがあり、はしご段があり、階段がある。
舞台奥にはドラムセットが組んであるのが見えて、あぁ、生バンドが演奏するんだなぁと分かる。
役者陣は、その舞台の上で、走り、跳び上がり、飛び降り、よじ登る。歌い手は要所で舞台上を動き回りながら歌う。バンドのメンバーも、時として舞台に出てきたりする(そして、良いお声で台詞を話す!)。
その一つ一つのクオリティがとても高くて、エンターテイメントとして非常に質の高い、見ていて全く飽きない芝居だった。

550ページの物語を3時間に収めて、一つのパッケージとして提示しなければならない。しかも、物語そのものを説明するのではないけれど、物語のグルーブを再現しないことには、お客さんも納得してくれないだろう。そういう要求に、きっちり応えていたのがさすがである。
こういうことができるんだ、と見せつけられると、「大きな劇場の芝居も面白いかもなー」と思ってしまう。

問題は、半分読みかけで残っている原作の小説である。読まねば。結末が分かっていても読まねば。うう。

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