11/07/2015 @The Playhouse Theatre
2013年にNotthinghamで初演され、West Endでも大好評を博した、ジョージ・オーウェル原作「1984年」の舞台版、ロンドン再演。
噂に違わぬ100分間、オーウェルの世界を壊さず、しかも左派懐古主義の古典芸能にも堕ちずに現代性を保って、飽きさせず、エンターテイニングに観た。
ただし、芝居として刺激的でガツンときたかと言われれば、そこはちと食い足らぬところもあった印象。
出だしから前半、スチームパンク風の舞台美術を動かさず、プロップを微妙にぶれさせながら時間と場所をポンポン飛ばして進めていく手管は大いに見応えあり、
短い暗転とシーンの切り替えが天野天街さんの演出を思わせる。そしてそこで展開されるストーリーはまさしく1984年の世界である。
このまま100分間押し切ってくれたらメロメロにやられちゃう、とまでも思わせるのだが、
そこで「間口を広げて幅広い観客にも分かりやすく作ってしまう」のが今のウェスト・エンドの芝居の王道なのか、これは中盤以降、
舞台の展開とも合わせて、(演劇としては)失速していく。
後半、Julianとの情事以降の展開は若干メロドラマチックに流れ、拷問シーン以降はテリー・ギリアムの「ブラジル」風近未来ディストピアテイストに覆われて、「これだったらなにも芝居で無くっても」感が増してくる。
ただし拷問シーンの見せ方は、エンターテイメントとしては十分行けてるんだろうと思う。耐えられなくて出て行っちゃう老夫婦もいたみたいだし、「ディストピアをありがとう」な観客には十分見応えのある仕上がりではあった。
あぁ、しかし、それにしても、1984は永遠に不滅です。劇場に来てる硬派オヤジ率の高さを目の当たりにするに付けても、「あぁ、今度、読み返さなきゃ」と思った次第。
他人事じゃないんだよな。技術的にも、情況的にも。
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