2016年8月7日日曜日

No Villain

23/07/2016 19:45 @Trafalgar Studios

Arthur Millerが大学2年の時に書いた処女戯曲が何十年かぶりに発見されて、それがUKで初演されたのが2015年。Old Red Lionでの上演が評判が良くて、今回はWest EndのTrafalgar Studiosでの公演に繋がった。

観てつくづく思うのは、長い間上演されていなかったのは、それなりの理由があってのことなのだなあ、ということ。

景気の悪い上着屋を営むユダヤ系移民の店主。大恐慌を迎えてもなお、古き良き思い出から抜け出せないままの妻。家業を支えつつ、時代の変わり目に目を向けようとしない父にいらだちを隠さない長男。大学へ行ったは良いが、左翼思想に染まって労働運動にかかりっきり、今や店をつぶしかねない運送労働者による出荷停止ストライキを指導している次男。そういう登場人物の話なので、ストーリーはこの時点でほぼ見通しがついてしまう。

そうなると、やはりこの戯曲、細部の雑さがどうしても目についてしまう。主要登場人物で無い人々が、それこそ「とってつけたように、物語を進行させるために」登場し、去って行く。主要登場人物の造形も、どうしても紋切り型のぼやっとしたところから前に進まない。演出・役者陣、それなりに力のある人たちが集まっているように見受けられたものの、そもそもの戯曲が雑なのを強調してしまう。
観ていてどうにも辛かったなあ。

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