29/05/2016
今年のクンステンフェスティバルの会期中、関係者の間では常にApicatpongの名前が囁かれていると聞いていたので、これは観に行こうと、フェスティバル最終日に飛び込みで。恥ずかしながらこれまで彼の映画を観たことは一度もなかったのだけれど、だからこそ、なのか、でも、なのかは不明だが、全く飽きずに会場にいられた。ショートフィルムや、映画の断片のようなシーンが会場に並べられていて、現代美術のインスタレーションの展示とさほど変わるところもない。
光の具合、色の生々しさ、敢えて物語のペースからは外れて、違う場所へと意識を持って行ってくれようとしているようで、心地よかった。作者のストーリーをごり押しせずに、観ている人々に組み立てさせようとしているのではないかと思われ、だから、カメラの視点も妙なところに置かれていて、そこにも僕の妄想が働く余地がある。
廃屋か倉庫のような建物の中に差し込む日光が生み出す光と影の変化を一日追い続けてみたり、森の中に開けた場所にぽつんと置いたベンチに、若者達が順番に並んでポートレイトを撮って貰ったり、骨董というほど古くもないが成金というほどピカピカでもない石像達をずっと追ってみたり、人工透析を繰り返したり、可愛くも何ともない若い男性の寝顔を追い続けたり。押しつけてないんだけれども印象に残る。これは大変な人だ、と思う。
家に帰ったら、買って観ないままに放置しているUncle BoonmeeのDVDを観ようと決めた。観たら、それもやはり大変素晴らしい映画だったのだ。
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