2008年7月13日日曜日

ドラマチック、の回

マイミクまちこさんのお勧め。アンテナが低くて気がついていなかったが、昨年の青年団自主企画「スネークさん」の振り付けをした田畑さんの構成・振付。デスロックに出ていて靴が際立ってかっこよかったのが印象に残る白神ももこさんも出演。
千歳烏山の住宅地の真ん中にあるStudio Gooに急遽当日券でお邪魔した。

で、さすがまちこさんのお勧めだけあって、大変面白かったです。まちこさん、改めてお礼を申し上げます。

なんといっても一番打たれたのは、全編を通して溢れるユーモア。「身を聖地に向けて投げ出せ、そして進め。それもリズムに合わせて」とか、「後ろを向いて手をしきりに動かしてなにをしてるのかな~?」とか、「私のおしりってどうよ?」とか、「カセットテレコ自転公転ドップラー効果(みたいに聞こえているんじゃないか)」とか、「チッチとサリーのたけくらべ」とか、「落ち着かない騎馬の馬」とか、まあ、タイトルは小生が勝手につけたのだが、特に観客の受けを取りに来ていないのに、愉快なものが溢れてきて、幸せな気持ちになる。

それほど大きなスタジオではないのに、6人のパフォーマーが空間を上手く切り分けて、コントラストをつけて、前景と後景を作りながら実は後景で変な動きをして見せたり、絶えずきょろきょろと舞台中に眼を配らないと面白い動きを見逃して損した気分になる。要は、空間の構成に深み・厚みとカラーがある。ソロで動いている時の緩急、注意のひき方も何ともチャーミングで、息抜きがしたければそちらに注目したり、またよそ見したり。

あっという間に40分過ぎて、寝てたわけでもないのに夢を見てた後の感じがした。気持ちの良いパフォーマンスだった。ラストの、「オアシスの象たちの乱舞」のカタルシスは、良い意味でツベルクリンを思い出させた。

ミクニヤナイハラ プロジェクト 五人姉妹

12/07/2008 ソワレ

マチネ後、「ざらついてはいかん、撥ね付けてはいかん、食わず嫌いはいかん」と唱えてアゴラにお邪魔したのだが、でも、1時間10分、つらかった。まぁ、評判も良いみたいなので、「分かってない奴の戯言」と仰っていただいて全く構わないが、正直、楽しめず。

一番気になったのは、台詞のスピード、身体の動きのスピード、台詞の音程、といったものが、1時間、一定だったこと。人間、同じレベルの刺激をずーっと加え続けると、感覚が痺れてきて眠くなる。だから、芝居でもダンスでも緩急をつける。そこに注意を払っていない気がした。
今回は、1時間10分の上演時間が分かっていて、かつ、最初の5分くらいでそれを感じて「ざらつきアドレナリン」が分泌されてしまったので、寝なかったけど、でも、困った。

パフォーマー達の身体も良く動いているし、振り付けはお洒落だし、台詞何言ってるかわからなかったり聞こえてきたり、というのも、ダサい試みとは言わない。でも、聞こえてくる時に面切っていう台詞がダサいと、聞いていて恥ずかしくなります。

ということで、観ながらずっと、なぜ、80年代後半の「ツベルクリン」が打ちのめされるほどに突出してお洒落で面白かったのか、ということを考え ていた。単に僕が若かっただけだとは思わない。でも、「自分が出来ること」を考えるんじゃなくて「昔こういうものがあった」としかいえないのはちょっと心 苦しくて、悲しい。

燐光群 ローゼ・ベルント

12/07/2008 マチネ

せんがわ劇場初見参。思ったよりも大きな建物で驚く。新しい劇場だけれど、冷たい感じのしない、割と感じの良い小屋だ。

ここのところ、燐光群の芝居は、観に行っては毒づくことが多かったのだけれど、何といっても今回は大鷹明良さんが出演しているので、それを観たかった。そして、それは、ある程度満たされた。と思う。

でも、やっぱり今回も、坂手シュプレヒコール演出が凶と出て、2時間20分、つらかった。いや、そもそも、19世紀末の「自然主義悲劇の最高傑作」と燐光群の本人達は非常に幸福な結婚、でも、いかんせん100年遅かった、ということなのだろうか。

色々毒づくポイントはあるのだけれど、一番大きいのは占部房子の使い方で、正直、2時間強の叫びっぱなし、暴れっぱなし、観ていられず目のやり場 に困った。一言も叫ばず、暴れず、男を舐めたような目つきで、でも、狂気へと進んでいく(われながらなんてチープな!)姿がみれたらよかったのになー、 と、冒頭からずっと思っていた。そして、そのまま終わった。坂手流の「現代テイスト」への改訂も、今回は皮相的に過ぎて苦しかった。

その日他で飲んでいてなるほどと思ったのだが、話のモチーフは去年武藤真弓演出のリーディングで観たファスビンガーの「ブレーメンの自由」に似て いる -社会の抑圧、家族、ジェンダー、宗教-。でも、「悲劇のヒロイン」の見せ方が坂手演出と武藤演出で全然違っていて、正直、村田牧子のヒロインの方 が全然面白かった。

芝居がはねた後、黙って前のめりで早足で帰ろうかとも思ったのだが、Nじさん、Sい君と鉢合わせて、近所でお茶。Nさんの演劇Loveぶりに、ざ らついてばかりの自分が恥ずかしくなった。あぁ、ほんとうの芝居好きというのは、あなたのことを指すのだろう。心が洗われました。で、その場で言い忘れて いてまたもあとで後悔したのだが、「て、の演技、素晴しかったですよ」。この場を借りて申し上げます。だれかNじさんにあったら伝えて。

2008年7月7日月曜日

青年団 眠れない夜なんてない 再見

06/07/2008 ソワレ

千穐楽。
ゆったりと、焦って事件を追わずに、でも、油断なく、舞台に眺め入る。

どっかの劇評に「手に汗を握ることは起きない」と書いてあったが、こんなに充実した舞台に見入っていて「手に汗を握らない」というのは一体いかがなものか。ハリウッドのアクション映画でしか手に汗を握れないのは、コーラの飲みすぎで味蕾が死んじゃったようなものである。
ま、逆を返すと、僕がコーラがぶ飲みしたら一発でお腹壊しちゃうということだが。

ゆったりとしたうねりが気持ち良い。ディテールがポンと目に触れることがあって、それも良い。

どこか作り物っぽい環境の中で作り物っぽい日々を過ごして、そこから出たくなくなっちゃう人たちを、「本当の作り物」の中で演じているのが、何だ か面白かった。でも、そういう「作り物of作り物」の裂け目から、作りきれない何かが染み出てきちゃったりするのが、また面白い。

何度見ても、誰と見ても、きっと違うものが見えてきて、面白いのだろうと思う。

地点 三人姉妹

06/06/2008 ソワレ

初日。
叔母に「関西で面白い芝居はあるか」と聞かれて地点を挙げ、挙げてしまった以上時間をとってお付き合いせずばなるまい、という口実で、大阪まで来た。
三浦演出の三人姉妹は春風舎で見逃していたので、一度観たかったというのもある。新幹線の往復チケット取った後になって、秋に東京に来ることが判明。まんまとはめられた。

ということで劇場に着くと、Mさんとでくわす。初めて紹介されたのが那須のなぱふぇす、次に顔をあわせるのが大阪で地点の初日。M氏はその後午前零時開演のやみいちこうどうに出かけていったが、いやいや、ホント、好きモンですねえ。かないませんわ。その他、いろんな人に出くわす。美術の杉山にも出くわす(初日だから一種当然か)。芝居がハネた後、なぜか叔母と二人で打ち上げにもお邪魔した。なにがかなしうて大阪まで来て杉山と飲む?まあ、叔母は楽しかったみたいで、それがなにより良かったのだけれど。

で、肝心の芝居だが、これは、本当に、観に来て良かった。
まさに公演中舞台上にあるものすべてに演出の意図が行き渡っていて、役者も舞台も戯曲も音も、すべて芝居の切り離しえない部分となっている。それがすごい - と感じるということは、じゃあ、常々見ている芝居では演出の意図が行き渡っていないということか?いや、そうじゃないよね。

おそらく、自分としては、芝居の中の時空の「粗と密」を楽しむ部分はきっとあると思っている。三浦演出はその「粗」を許していなくて、まさに「芝居を作りこむ」とはこういうことなのか、と思わせる。役者・音響・照明・美術・舞監、みんな、すごいストレスにさらされていることだろう。
で、そういう、芝居の中で起こっている・中にあるすべての事物について、「あれはどういう意図なのか?」と問うた時に、演出家から100%答えが返ってきそうな感じって、果たしてどうよ、ということはすこーし考えたけれど。すごい気合を入れて描き込んだ油絵みたいな印象が強烈に残る。

もちろん、一筆書きの一字だって、面白いものは1時間観ていて飽きないものなのだ。そこら辺のことをウンウン考えてしまった。東京公演も大変楽しみ。それまでにありったけ考えておかなくちゃ。

A級 Missing Link 裏山の犬にでも喰われろ!

05/07/2008 マチネ

初見。精華小劇場にも初めてお邪魔した。
なんばの街の人通り、人のうねりにあてられつつ劇場へ。小学校の体育館跡ということで、もっとだだっ広く拡散する空間かと思っていたが、案外そうでもない。

舞台上に作られた10畳間が、いろんな時点の・いろんな場所の、複数の登場チームの活動の場となっていて、それが、「人間よりも古くから地球上にいる一族」の姉妹の話とリンクしながら物語をドライブする。冒頭の姉妹の会話がちょっと力入っていて、かつ思わせぶりすぎるところもあって、2時間強の芝居、どうなっちゃうんだろう、とも思ったが、逆にそこで余計な期待をやめた分、楽に観れたのかもしれない。妙にいらいらすることなくあとの2時間集中途切れず観た。

複数の物語の絡ませ方自体は悪くなかったのだと思う。そこで不快感を催さないから2時間もったのだろう。ただし、抑圧するもの⇔されるもの、の単純二元論は弱いし、劇団ネタ、台本入れ子ネタは、「あざといプロットの入門編」みたいな風もあって、工夫の余地ありか。一度つくった物語の構造を壊して、もう少しうにょうにょと分かりにくくしても良かったと思う。

一方で、関西弁の台詞の芝居だったのは好感度アップ要因。関西の劇団だから当然か、というと、東京で観る関西の劇団は必ずしもそうでもないし、そこら辺が「ああ、やっぱり来てみるもんだ」と思えたりする。

大きな減点要因は、冷房の効かせ過ぎ。後半は左肩が冷えて冷えて。全般に大阪は東京に較べて冷房が激しい感じがした。喫茶店、電車の中も含めて。みんな、平気なのかな?

鉄割アルバトロスケット 鉄割の信天翁が

04/07/2008 ソワレ

鉄割を見始めてからもう何回目かになる。当パンに自分の好きなネタが載っていると、大変にうれしい。開演前から期待感が高まる。オープニングの「はじ◎よ」、やたらカッコよくて、ここだけでもう「来てよかった」感たっぷり。あとはリラックスして観た。

あれ、なんか、前半だけで帰っちゃった人も結構いるみたいだけど?
っていう風になるのも、実は今回、ちょっと頷けないこともなくて、その回の前半にはキレを感じず。「もうすぐ休憩ですからね」ってえ台詞が本当に苦しく聞こえて、どうしちゃったのかと思う。
後半盛り返して、馬鹿舞伎には拍手も出たが、トータルではやはり長く感じた(って、実際2時間30分近くやっててくれたので、僕としてはお得感あり)。

「いつわさん」、カッコよい。泣ける。「麻薬の取引現場」、Sabotageのクリップをそのまま舞台でやる根性に感服。その他色々あるが、中島弟の露出度がいまいちだったかも(それは言わない約束か?)。

初見でこの長さだったら、やっぱりきつかっただろうと思う。が、末広亭で寄席を見たら、休憩挟んでもっと長い時間やってるわけなので、そのつもりで観れば、なんてことはないのだ。
力を抜くのが、ポイントでしょうか。